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僕は高校時代から愛用しているギターを手に取ったが、フレットが磨り減っていて出ない音がある。いつまでも続くものもなければ、いつまでも続く音もないことを思った。始まりは思い出せないが場面は学校であった。 
新任教師らしい私は教室で問題が起こったことをきき、教室に向かう。 
ここで記憶は途絶えている。 
僕は坂道を歩いていた。 
僕には好きな人がいた。 
僕は男性をひとつの対象として捉えていた。 
ある日僕は心臓病だか癌だか何かにかかった。 
(そんな病名はなかった気がするが抽象的な世界、言葉をなんとなくこの現実でも了解している) 
僕は、死ぬことと、生きることの選択権を与えられた。 
僕は迷った。 
何に対して悩んだのか。 
わからないけれど。 
僕は死ぬことにした。 
死ぬことに苦しみはなかった。 
多少の倦怠感があった。 
死後には世界があった。 
変わらないのか変わったのか 
気がつくと、淡い僕がいた。 
僕は自分の死体を見た。 
変わらない世界に僕はいて、僕を見る人も何の驚嘆もなく僕を認識している。 
僕は各地を散遊している。 
旅先で僧にあった。 
彼となにやら話をしている。 
電車にならんだ。 
海辺で好きなひとにあった。(まだ付き合っていないと思われる。) 
少しさびしげで幸せそうな雰囲気。 
最後の場面はすさんだ教室だった。 
ブルーシートにつつまれた僕がいた。 
死体だ。 
僕は戻ることを考えた。 
細胞が死んでないかとか、特に脳細胞とか、腐乱してないかが心配だった。 
僕は僕の死体の顔を覚えていない。 
たぶん青いだろうと推測はしていた。 
僕は淡い僕を僕の死体に重ねた。 
二重になる僕の線が俯瞰で目に映る。 
僕の体は予想に反して普通に動いた。 
ただ多少の倦怠感があった。 
腕には違和感がしばらく残った。 
両手だろうか。 
たぶん左手だろう。